特色印刷について

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特色とは

印刷における「特色」について耳にしたことはありますか?
ネットプリントでご注文された経験がある方でしたら、オプション欄に特色という項目があるのを目にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。今回は特色について説明していきたいと思います。

基本から振り返りますと、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の4色を組み合わせて様々な色を再現する方法が最もメジャーな印刷方法と言えますが、この印刷方法にも色再現の限界があります。例えば蛍光色や金・銀などのメタリックカラーはCMYKだけで完全に再現することはできません。こういった色を再現するために使用されるのが特色インキです。あらかじめ希望の色に合わせた特色インキを作ることでCMYKで表現できない色も印刷可能になります。

特色の規格として有名なのものとして「DIC」と「Pantone」があります。こちらのメーカーは自社の色見本帳を出しており、例えば「DIC-220」などのように番号と色を紐づけているものが一覧で確認することができます。特色の色見本はWebでも確認することが可能ですが、ディスプレイ上での見た色と印刷で再現される色は異なりますのでご注意ください。
特色を使いたい場合は印刷会社に「DIC」や「Pantone」の色番号を伝えるか、色チップを渡して事前に特色のインキを作ってもらうようにするとよいでしょう。

特色は、印刷物の目的やターゲットに合わせて選択されます。例えば、商品パッケージにおいては、引き立つ色や特殊な仕上げが商品の認識や魅力を高める役割を果たします。広告やポスターにおいては、視覚的な訴求力を強化するために特色が活用され、印象的なデザインを実現します。

カラー(CMYK)印刷との違い

カラー印刷がCMYKの4色で印刷するのに対し、特色印刷は指定した色に合わせて調合したインク1色だけで印刷をします。この場合は印刷に使用する版数は1版のみとなります。
1色で印刷するメリットとしては線が綺麗に印刷でき、一面塗りつぶしたようなベタと呼ばれる色も綺麗に印刷することが可能です。対してカラー印刷はその仕組み上、CMYKそれぞれの細かい点(網点)で色を再現するため、わずかなズレが発生することがあります。このズレが線・色のぼやけやムラっぽさにつながってしまいます。

注意点として、闇雲に特色を使うと色の数だけ版の数が必要になるため、コストが高くなってしまう恐れがあります。また、デザインによっては見当ズレが起きる可能性も発生してしまう恐れがございます。特色はデザインなどを考慮して効果的に使用することをおすすめいたします。

<網点のイメージ>

一見すると普通の印刷物の絵柄です。左の鳥に関しては黒・青・白・オレンジ・ベージュの5色で構成されているように見えますが、これをルーペで拡大してみます。

※この先の画像ですが、集合体恐怖症の方は不快に思われるかもしれませんので、ご注意ください。

なにやら丸い粒のようなものが見えてきましたが、まだ分かりづらいかもしれません。
さらに拡大してみます。

ここまで拡大すると大分鮮明になったようになったように思います。
CMYKそれぞれの色の小さい粒(網点)によって絵柄が構成されていることが分かります。
このようにカラー印刷においてはすべての色はCMYKの4色構成で表現されています。
お持ちの雑誌やチラシを虫眼鏡やルーペで拡大してみると実際にこのように網点を確認することが出来ると思いますので、興味のある方はお試しください。

DIC(ディック)

最もメジャーな特色の規格として名前が挙がるのが「DIC(ディック)」です。DICはDIC株式会社が製造している特色インキを指します。日本の企業であり、その色見本帳は日本国内でよく使用されています。DICカラーガイドには、特に日本の印刷業界で使われる標準的な色が収められており、企業やデザイナーはこれを基準にしてプリント物の色を指定します。日本の伝統色やフランスの伝統色といったカテゴリーの色味も掲載されております。
また、DICの特色はCMYKやRGBの色味に置換することも可能です。公式サイトに検索欄があり、そこにDICの番号を入力するとインキ配合・CMYK・RGB・HTMLカラーコード・マンセル値が表示されます。試しに検索欄にDIC-123と入力したところ、下部画像が一覧で表示されました。特色部分をCMYKに分解して印刷するケースは多々ありますので、DICカラーのCMYKを調べたい場合はこちらの方法が便利です。
注意点ですが、CMYK等で置換した色味はあくまで近似色になります。DICカラーをCMYK等で表現する際に最も近い色味が表現できるというもので、完璧に同じ色が表現できる訳ではないのでご注意ください。

*参考|DICカラーガイド情報検索(ver 2.0)より|https://www.dic-graphics.co.jp/color/search/

Pantone(パントン/パントーン)

DICと肩を並べる有名な特色の規格として「Pantone」がございます。アメリカに本社を置くPantone社が製造している色の規格となります。国際的に広く使用されている規格ですので、世界的にはDICよりメジャーと言えるでしょう。DICと同じようにPantoneにも色の見本帳があり、固有の色番号が割り振られています。色味を指定される際はDICと同じように番号をお知らせいただければ、弊社でも対応可能でございます。
Pantoneは特に特殊な色や特定のブランドイメージの確立に利用され、企業やデザイナーにとって信頼性が高い色の指定ツールとなっています。

補足情報になりますが、Pantone色番号の最後尾に「U」や「C」のアルファベットがついているのを目にしたことがあると思いますが、こちらが何を意味するのかご存じでしょうか?
正解は U=Uncoated(上質紙)、C=Coated(コート紙)の略称となります。
Uがついている色は上質紙に印刷した色味、Cがついている色はコート紙に印刷した色味となっております。同じ番号ですので色の構成は同じなのですが、UとCでは紙の差異により見た目の仕上がりが異なりますので、色指定される際はご注意ください。

有名企業のロゴ

みなさまが普段目にしている企業のロゴはコーポレートカラーといって特色やRGB・CMYKの色が設定されているケースがほとんどです。各企業でブランディングを行っており、目を惹く色の組み合わせを使用するなど創意工夫が見られます。
ガイドラインを公開している企業のロゴをいくつか紹介してみたいと思います。参考までにご覧ください。

LINE(ライン)

特色Pantone 2271C
CMYK72 / 0 / 100 / 0
RGB0 / 185 / 0
HEX#00B900

参照元:ロゴガイドライン

YouTube

特色PANTONE 2347C
CMYK0 / 95 / 100 / 0
RGB255 / 0 / 0
HEX#FF0000

参照元:Brand Resources

楽天グループ

特色Pantone 1805C
CMYK25 / 100 / 100 / 0
RGB191 / 0 / 0
HEX#BF0000

参照元:Rakuten Brand Guideline

Amazon

Amazon OrangeSquid Ink
特色Pantone 1375C
Pantone 137U
Pantone 432C
CMYK0 / 45 / 95 / 078 / 64 / 53 / 44
RGB255 / 153 / 051 / 62 / 72
HEX#FF9900#333E48

参照元:Amazonロゴブランドガイドライン

まとめ

ご紹介したように、特色印刷を効果的に使用することでカラー印刷では表現できないような目を惹く仕上がりにすることが可能です!

印刷方式によっては特色印刷ができないといった注意点もございます。その他、気をつけるべきポイントもいくつかございますので、特色印刷に関するご不明点や見積のご依頼など、事前にお気軽にご相談ください。

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