YUPO(ユポ)とは

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YUPO(ユポ)とは

特徴

YUPO(ユポ)は、合成ポリプロピレン樹脂を主成分とする非常に特殊な素材で、主に印刷業界で利用されている「フィルム法合成紙」です。製造元は株式会社ユポ・コーポレーションとなります。
その特殊な製造プロセスにより、非常に滑らかで均一な表面を持ち、高品質な印刷物の製作に適しています。そんなユポの主な特徴としては下記が挙げられます。

  1. 滑らかで均一な表面
    YUPOは、均一でなめらかな表面を持つため、印刷時に高い解像度での印刷が可能です。印刷再現性は用紙と同等レベルになります。また、厚みムラが少なく物性的にも安定しているためラミネートなどの表面加工も綺麗に仕上がります。
  2. 耐水性
    水に強い特性を持ち、屋外での使用や濡れやすい環境での使用にも適しています。水に濡れても強度の低下や形状・寸法の変化はほとんど起きません。
  3. 耐久性
    YUPOは強靭であり、摩擦や折り曲げに対しても強い耐性をもちます。
  4. 再生可能性
    ポリプロピレン樹脂は再生可能な素材であるため、環境に配慮した素材となります。
  5. 軽量
    表層にミクロボイドと呼ばれる微細な亀裂がある特殊構造のため、同一厚みのコート紙と比較して、約2/3の軽さです。
  6. 耐油性・耐薬品性
    酸、アルカリ、有機溶剤、油などの薬品類に浸されても、品質の劣化はほとんどありません。

使用例

  • 屋外に掲示するポスター
  • 選挙の投票用紙
  • 店舗の冷蔵ケースにあるPOP
  • 飲食店のメニュー
  • 製品ラベル/タグ
  • スコアカード
  • 地図

耐久性・耐候性があるユポは屋外環境や水濡れの恐れがあるシーンなどで活用されることが多いです。
意外にも選挙関連の印刷物で使用されることが多いです。投票用紙にユポが使われているのは近年ニュースで取り上げられて話題になったので、記憶にある方も多いかもしれません。反発が強く折りづらい=開きやすいという特性を利用し、開票作業効率化の観点から導入されたようです。

注意点

いいこと尽くしで欠点がないように思われるユポですが、いくつか注意点がございます。

  1. 通常の紙素材と比較して、コストが高めである
    通常の紙素材と比較すると材料代のコストが数倍になることも珍しくありません。何でもかんでもユポを使用するのではなく、ユポでしか対応できない仕様を適切に判断して使用することが重要です。
  2. ユポのシリーズによって印刷機・インクとの相性が変わる
    これは印刷会社側にとって気を付けることなのですが、ユポのシリーズによっては専用インクが必要、UV印刷に不向き、片面印刷のみ対応などの制約があります。お客様のご要望をヒアリングして適切なものをおすすめすることもありますので、事前にご相談ください。
  3. 折りやラミネートなど後加工に様々な留意が必要
    厚手のものも多いユポですが、ユポの種類によっては割れやすいことがありますので事前にスジ入れをするなど対策が必要なことがございます。
    また、ユポは熱による変形をおこすため熱が加わる箔押しやラミネート加工には注意が必要です。加工方法によっては対応不可ということもございますので、事前にご相談ください。

紙素材も同様ですが、印刷・加工をする際にユポに関してはより一層の注意をする必要がございます。企画段階から印刷会社側と綿密に打ち合わせされることをおすすめいたします。

名前の由来

三菱油化株式会社(現:三菱ケミカル株式会社)の「YU」と王子製紙株式会社(現:王子ホールディングス株式会社)の「O」をPaperの頭文字「P」で結びつけるという従業員のアイディアから「YUPO=ユポ」とネーミングされました。

引用元:「ユポ」の由来|株式会社ユポ・コーポレーション 公式Webサイトより|https://japan.yupo.com/corporate/yupo.html

そもそも、ユポ・コーポレーションは1969年5月に石油化学系合成紙の企業化を目的に王子製紙株式会社(現:王子ホールディングス株式会社)と三菱油化株式会社(現:三菱ケミカル株式会社)の折半出資により設立された合弁会社です。そういった経緯から、両社の名前の一部を使用した「YUPO」という名前が生まれたようです。

廃棄方法について

ユポを使用した製品を利用した後にどう処理すればよいのか、お悩みになった方もいらっしゃるかもしれません。ユポの廃棄方法に関しては公式サイトに記載がありました。

ゴミとして処分する場合

・一般家庭ゴミとして処分される場合は、お住まいの自治体のプラスチック分類に従い処理してください。
・事業所のゴミとして処理する場合は産業廃棄物として処理してください。

引用元:環境・安全|株式会社ユポ・コーポレーション 公式Webサイトより|https://japan.yupo.com/csr/environment_safety/

このように、一般家庭の場合はプラスチックとして処理、事業所のゴミとして処理する場合は産業廃棄物扱いになるようです。ユポの主原料は炭素と水素からできているポリオレフィンであるため、公共の焼却炉にて適正に焼却する時には塩素系ガス・異臭・ススなどの有害物質は発生しません。
また、焼却炉で処理されたユポは熱エネルギーとして有効利用できるため、電力発電、地域冷暖房、発生する熱を利用する温水プールなどに、省エネルギー対策として有効利用されています。

大量に処分する場合

使用済みのパンフレットなど、廃棄するユポがある程度まとまれば、資源として再利用することができます。現在は再生固形燃料(RDF及びRPF)にして熱エネルギーとしての再利用が主体ですが、プラスチックとしてのリサイクルについても可能です。

引用元:ユポの強み|株式会社ユポ・コーポレーション様 公式Webサイトより|https://japan.yupo.com/yupo/

ユポ・コーポレーション様での取り組み事例として、「断裁された端材など汚れていないユポは、溶かして再びユポの原料として使われています。印刷ヤレ紙などの廃棄物については、プラスチックパレット、雨水槽貯留桝のような再生加工品の原料として利用できます」ということも紹介されております。

ユポ環境ロゴマーク

条件付きではありますが、ユポ・コーポレーションはユポを使用した製品に関してオリジナルの環境ロゴマークを使用することを許可しております。
これはユポ・コーポレーションが掲げる、持続可能な循環型社会をめざし、社会課題の解決を使命とした事業の展開、世界各国が取り組む環境負荷低減に貢献したいという想い、ユポの使用にあたって関連する方々や消費者とこの取り組みを共有したいという想いによるものです。
ユポ環境ロゴマークは2種類ございますのでご紹介をいたします。
※お手数ですが、ロゴデザインに関しては下記リンク先の公式サイトよりご覧ください。

Biomass Blend Filmマーク

  • 使用条件
    ユポグリーンシリーズは、従来の化石燃料由来樹脂を植物由来樹脂に代替することでCO2排出量削減に貢献します。
    ユポグリーンシリーズを使用した場合に、印刷物へ本ロゴマークの付与が可能です。
  • ロゴデザインについて
    エコロジーの象徴的なモチーフである「地球」と「葉」を組み合わせたロゴマーク。
    ユポグリーンが植物由来のバイオマス樹脂を使ったCO2の排出量を抑えた製品であることを、地球と地球に寄り添う大きな葉で表現しています。
引用元:ユポ環境ロゴマークのご案内|株式会社ユポ・コーポレーション様 公式Webサイトより|https://japan.yupo.com/environmentlogo.html

ユポグリーンについてですが、従来品のユポの主原料である化石燃料由来樹脂の一部を植物由来のバイオマス樹脂に代替することによってCO²の排出量を削減したより環境に優しいシリーズのユポです。
ユポグリーンを使用した製品および国内限定での使用条件であればロゴを使用できるということですので、使用するハードルは低いと言えます。
従来品のユポでも原料に木材を使用せず、製造工程でも水をほとんど使用しないので十分環境に配慮された製品なのですが、ユポグリーンはより環境に配慮した製品ということで最近お問い合わせをいただくことも多々ございます。ご興味がある方は一度弊社までお問い合わせください。

Reduce Plastic Filmマーク

  • 使用条件
    ユポは独自技術ミクロボイド(微細な空孔)により、一般的なプラスチックフィルムと比較してプラスチック量削減に貢献します。現在ご使用の印刷物をユポへ置き換えることで、プラスチック使用量削減が認められた場合、本ロゴマークの付与が可能です。
    ※現行素材の情報とサンプルをご提供いただき弊社で分析の結果、弊社材料への置換えで樹脂量削減の効果があると試算できた場合に、ご使用いただけます。
  • ロゴデザインについて
    エコロジーの象徴的なモチーフである「地球」と「矢印」を組み合わせたロゴマーク。
    ユポは独自の技術によりプラスチック量削減につながる製品であり、削減の方向を指し示す下向きの矢印の中に地球を配置することで、ロゴマークを見られた方に環境負荷の低減効果を分かり易く伝えるよう表現しています。
引用元:ユポ環境ロゴマークのご案内|株式会社ユポ・コーポレーション様 公式Webサイトより|https://japan.yupo.com/environmentlogo.html

こちらのマークは「Biomass Blend Filmマーク」と違い、ユポグリーン以外のユポにも使用することが可能です。ただし、現在使用している素材でのサンプルをユポ・コーポレーションへ提供して、ユポに素材を切り替えることで樹脂量削減効果が認められないと使用することができません。「Biomass Blend Filmマーク」と比べるとひと手間かかるなという印象です。

環境に配慮した企業であることを外部にPRすることができますので、ユポを使用する機会があった場合は是非ユポ環境ロゴマークを入れることをご検討ください!

まとめ

  • ユポは合成ポリプロピレン樹脂を主成分とした合成紙である
  • 紙素材にはない特徴が多くあるので、用途・使用シーンによっては使用するメリットが大きい
  • より環境に配慮したユポグリーンのシリーズがある
  • 一定の条件をクリアすれば「ユポ環境ロゴマーク」を使用することが可能である
  • 適正な方法で廃棄すれば環境負荷が少ない

最後までご覧いただき誠にありがとうございます。ユポに関してはもっと説明が必要なことがあるのですが、割愛させていただきます。少しでもご興味をもっていただけた方や疑問がある方は弊社へ直接お問い合わせいただけますと幸いです。

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