LIMEX(ライメックス)とは
何をするにも環境問題が意識される昨今ですが、「印刷=紙を消費する」、まさに環境問題に直結する構図がある印刷業界も例に漏れず、環境配慮に対して様々な取り組みや成果が求められています。その中で今回は「LIMEX(ライメックス)」という素材について解説したいと思います。
LIMEX(ライメックス)は石灰石由来の炭酸カルシウムなどの無機物を50%以上(重量比)含む、無機フィラー分散系の複合素材です。その名前は”Limestone”(石灰石)と”X”(無限の可能性)を掛け合わせてできたものです。
印刷に詳しい方ですと、この説明を聞いた時に似た素材としてユポを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。以前の記事でユポについて解説をしましたが、ユポはポリプロピレン樹脂を主原料としておりますので、大部分が石灰石由来の無機物で構成されているLIMEXとは主原料が異なります。
日本においてはポリプロピレン樹脂のような石油由来の原料や紙の原料になる木材パルプはその大部分を輸入に依存しております。輸入しているということは輸送時にも当然エネルギーの消費が起きているわけなので、環境にとってはマイナスの影響があります。対して、100%の自給自足もできると言われている石灰石に関しては輸送面による影響だけを考えると環境に優しいと言えるでしょう。この点に関してはLIMEXの開発元である株式会社TBMの公式サイトにより詳しい説明が掲載されております。面白い内容ですので、興味のある方はご覧ください。
*「LIMEX」は株式会社TBMの登録商標です
特徴
- 耐水性
水に強いため、湿気の多い環境でも優れた性能を発揮します。 - 耐久性
折り曲げや破れに対して高い耐久性をもっています。 - 環境に対して低負荷
再生可能な素材であるため、石油由来のプラスチックの使用を減少させ、環境への影響を軽減します。製造工程で水をほとんど使用しないため、水資源・森林資源の保全に貢献しています。 - 汎用性の高さ
紙・プラスチックの代替としても利用され、トレイや容器、食品包装、建材などに応用されています。汎用プラスチックと同様に真空、射出、インフレーションなどの多様な成形方法に対応していることから、既存の成形設備を活用することも可能です。
ストーンペーパーやユポと似た特徴を持っておりますので、同じ用途で使用することが可能です。
LIMEXは2022年11月時点で10,000以上の企業や自治体で採用実績があり、導入された事例が公式サイトでご紹介されております。
- パンフレット
- クリアファイル
- ショップバッグ
- リストバンド
- 包装材
上記で挙げたのは一例ですが、一部を見るだけでもさまざまな業種・製品に使用されていることが分かりることから、その加工適正の高さがうかがえます。
サステナビリティ
なぜLIMEXが注目を集めるのか?
近年「脱炭素」「カーボンニュートラル」「SDGs」「ESG」などのワードを頻繁に耳にするように、環境に対する意識が世界的に高まっています。その背景として、世界的な人口増加により将来的なエネルギー・水資源のなどの資源不足が懸念されている点が挙げられます。今のうちに少しでも環境負荷を減らせるように各方面で活動しているうちの1つの手法として、印刷業界では環境負荷が小さくリサイクル性が高い印刷用紙を使用することが注目されており、そこで白羽の矢が立ったのがLIMEXなどの素材でした。
リサイクル・アップサイクルについて
通常の紙素材であればリサイクルをして再生紙に生まれ変わるというケースが多いのですが、LIMEXの場合は物性劣化が小さいという特徴があるため、アップサイクル性に優れています。
アップサイクルとは廃棄物を単にリサイクルをするだけではなく、デザイン・アイデアなどの付加価値をプラスして別の製品にアップグレードして生まれ変わらせることを指します。
これに関しても公式サイトにて事例が紹介されております。
まとめ
今回はLIMEXに関する説明をしましたが、印刷会社において環境に配慮する方法としては他にFSC認証紙・バナナペーパーや竹紙など従来の森林資源以外を使用した用紙を使うなど様々な選択肢がございます。
一般用紙と比較してコストが高い・入手性が悪いなどデメリットもありますが、環境に配慮するための一歩として、このような素材があることを知っていただければ幸いです。
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