色校正とは?
印刷物を発注した際に、出来上がってきた製品を見て「思っていたより色が暗い」「イメージしている色と違う」などの経験がある方も多いかと思います。
特に数万部の大ロットの印刷物の出来上がりがイメージと異なっていたら目も当てられません。
そこで、本番の印刷前に色味やイメージを確認する方法として取られているのが「色校正」です。
色校正には大きく分けて「簡易校正」と「本機校正」の2種類があり、予算やどの程度の品質レベルを求めているのかで使い分けるのが一般的です。
そこで今回は「簡易校正」と「本機校正」の2つについて、どのような違いがあるかご紹介いたします。
簡易校正
簡易校正について
簡易校正とは、本番の印刷機の前に簡易的な印刷機で仕上がりを確認するのに用いられるもので、
弊社では主に「カラープリンター」「インクジェットプリンター」「オンデマンド印刷機」「インクジェット印刷機」のどれかを使用しています。
用途としては本機校正と同じなのですが、カラープリンターやインクジェットでしたら専用紙、オンデマンド印刷機でしたら本紙に印刷することが多く、比較的安価に印刷することができます。ただし、本番でオフセット印刷するものに対して簡易校正を行いますと、大体のイメージを掴むことはできますが色味に関して100%近くの精度ではなく、80%程度と思っておいたほうがいいかもしれません。
大体の仕上がりイメージを掴みたい、紙は本番と同じでなくとも良い、なるべく色校正の金額を抑えたい、といった場合には簡易校正での印刷が向いています。
また、実は印刷会社によって簡易校正の定義が様々ありますので、簡単にこちらもご紹介します。
カラープリンター校正
複合機と同等のカラープリンターで出力する方法です。
コピー用紙に近い専用紙に印刷するため、色校正ではなく内容に不備がないかの確認のために使われます。
インクジェットプリンター校正
弊社でも行っている校正方法ですが、専用の紙にインクジェットで出力する方法です。オフセット印刷と色味を合わせているのでそこまで大きくは違いませんが、条件次第では色味がかなり変わってしまうこともありますのでご注意下さい。例えば、本番をヴァンヌーボなどのラフ系の用紙へ印刷する場合、インクジェットの専用紙は光沢感があり明るく色が出やすいのですが、本番は沈んだ色味で出てしまう傾向があります。
オンデマンド校正
オンデマンド印刷機で校正を印刷するものです。本番と同じ用紙で印刷できるので、比較的に色味は近いものに仕上がります。ただし、トナーを使用しての印刷となるため、やはり本番とは少し色味の出方が異なります。また、出力できる用紙のサイズが限られているので、ポスターなどの大判サイズの印刷には向きません。
インクジェット印刷機校正
弊社にある「Jet Press 750S」というインクジェット印刷機で校正を印刷するものをこのように呼んでいます。多少制約はありますがオンデマンド校正と同じく、本番と同じ用紙で印刷ができ、オフセット印刷機とカラーマネジメントで色を合わせてありますのでかなり近い色を再現することができます。
本番のロットが少なくなった場合には、そのままインクジェット印刷機で本番印刷することも可能です。
本機校正
本機校正について
本機校正とはその名の通り、本番の機械を使用して印刷した色校正のことを指します。本番と同じ用紙・インキ・印刷機を使用するため、色校正としての精度はダントツで高いです。ただし、オフセット印刷であれば本番同様に版を出力するなどの手間もかかるため、費用も高めとなっております。
本番の印刷はオンデマンド印刷機で、校正をオンデマンド印刷機で行うことも本機校正と言います。
- コーポレートカラーもしくはブランドカラーが決まっているので色をぴったり合わせたい
- 広告宣伝に使う商品写真なので、現物の色にきちんと合わせたい
上記のような、いわゆる色にこだわる必要がある場合に関しては本機校正が適しています。
本紙校正
本紙校正とは、平たく言えば本番と同じ用紙に印刷した校正全般のことを指します。これも印刷会社によって、オンデマンド印刷したもの・オフセット印刷したもの・平台校正機で印刷したものなど定義づけが異なります。本番と同じ用紙に印刷する分、簡易校正よりは本番の仕上がりに近づきやすいです。
本紙校正を依頼する場合は事前にどの印刷方法で行うのか確認することをおすすめします。
色校正まとめ
ばっと説明してしまったので、簡潔に校正の特徴をまとめます。印刷会社によっては異なる場合もありますので、あくまで弊社での指標となります。
校正方法 | 費用 | 用紙 | 品質 | 色再現性 |
カラープリンター校正 | ○ 無料 ~ 安価 | × コピー用紙 | × 良くない | × 良くない |
インクジェットプリンター校正 | ○ 安価 | × 専用紙 | ○ 良い | △ 60~80%程度 |
オンデマンド印刷機校正 | △ 比較的安価 | ○ 本番紙 | ○ 良い | △ 60~80%程度 ※オフセット印刷機と比較して ○ 95%~ ※本機で使用する場合 |
インクジェット印刷機校正 | □ 比較的高価 | ○ 本番紙 (制約あり) | ○ 良い | ○ 80~95%程度 ※オフセット印刷機と比較して ○ 95%~ ※本機で使用する場合 |
オフセット印刷機校正 | × 高価 | ○ 本番紙 | ○ 良い | ○ 95%~ ※オフセット印刷機と比較して ○ 95%~ ※本機で使用する場合 |
予算がかかっても色にこだわりたい場合は本機校正、そこまで予算がさけないけれど大体の色味を事前に調べたい場合は簡易校正など、ご予算と用途で使い分けるのが吉ですね。
色校正との色合わせ
色校正で校了となった後に本番の印刷を行うわけですが、本機校正を行ったとしても色校正の色味にまったくの狂いもなく色を合わせることは至難の業となります。
なぜなら、色校正を印刷した時と本番で印刷した時では印刷環境が異なるからです。
この「異なる」というのは、一見して同じ環境に見えますが、色味というのは本当に些細な環境の違いで大きく変わってしまうことがあります。
人間の目というのは良くできたもので、その些細の色味の違いを見逃しません。
上記のまとめにある表の色再現性で、色校正と本番を同じ機械で印刷しても100%の精度にならないのはこのためです。
弊社では温度・湿度等の基本的な所は年間を通して同じ環境を構築していますが、印刷機そもそもの特性や、印刷順番によって、色校正と同じ設定にしていたとしても同じ色味では印刷されません。
色を合わせるためには、営業の的確な指示や印刷オペレーターの技術が必要となってきます。
弊社では視覚的にどの程度の色差があるのかを測定するカラースターというシステムも導入しています。
色差のことを「ΔE」という数値で表し、測定ポイントでその数値が低ければ色が近いことを示しています。弊社では製品にもよりますが、この数値がおおむね2~3以下になるよう微調整をして印刷しています。ただ、製品にもそれぞれ好みの色というものがあり、例えば人物の顔であれば赤みが浮かないようにする。お弁当であれば青みが浮かないようにする等の調整も必要だったり、中間色が大部分の面積を占めるような絵柄の場合、ドットゲインによる色味の変化が大きいため、特に注意を払って印刷を進めていきます。
本番印刷中の色ブレ
色校正と本番印刷の色味の合わせることができたので、さぁ量産印刷を進めていこうとなりますが、ここで注意しなければいけないのは、量産印刷を進めている時にも色ブレが起こるということです。
特にオンデマンド印刷機やオフセット印刷機で起こりやすいのですが、同じ設定で量産印刷を進めていても、刷り始め・刷り中・刷り終わりの刷本を比較すると色味が違って見えることが多々あります。
製品によっては同ロット内での色ブレが致命傷となることもありますので、印刷中に機械を止めて再度調整を行うこともあります。
色のトラブルをなくすには認識の刷り合わせが大事
色が合っているか、合っていないかは人の感覚に頼るところが大きく、どう合っていないかも明確に言葉で表すのが難しい場合があります。
すべて印刷が終わってから、お客様から「色が合っていないから刷り直し」と言われることもあり、
納期の遅延やコスト増と双方に負担がかかってしまいます。
そのようなことにならないためにも、事前にテスト印刷を行い、お互いの感覚を刷り合わせておいたり、色差の許容範囲見本を共有したりすることがとても大事になります。
弊社本社には営業部と印刷機が同じ社屋にあり、営業自身が直接色の確認や立ち合いを行うことが可能です。
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